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明治大学大学院<総合芸術系> 管啓次郎研究室の書評ブログ

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ヌルントゥルンの意味を知るまで【評=管啓次郎】

野村宗弘『のんびりヌルントゥルン(上、下)』(実業之日本社、2020) 「ヌルントゥルン」の意味にたどりつくまでが旅だ。東京からやってきた駆け出し写真家、カバ顔の大山くん。何も知らなかった沖縄で一歩ずつ人々の生活と心に近づいていく。おばあの手の…

まなざすのは誰か【評=中野行準】

『東北へのまなざし1930-1945』展 1 2つの含意 『東北へのまなざし1930-1945』というタイトルには2つの含意がある。1つ目はまなざす主体が想定されているということで、これは本展覧会で提示される東北があくまでも、特定の主体によってまなざされた<東…

鹿の島に舞う蘭の花【文=大洞敦史】

陳耀昌『フォルモサに吹く風 オランダ人、シラヤ人と鄭成功の物語』(大洞敦史訳、東方書店、2022) 台南で経営していた蕎麦屋に、ある日珍しいほど鼻筋と頬骨の目立つ年配の紳士が来られ、2冊の著書をくださった。『福爾摩沙三族記』『島嶼DNA』という。前…

立ち話15 桂星子さん(新聞記者)

桂さんは新聞記者ですね。経済新聞の文化部という、ちょっと変わった位置にいらっしゃるのかと思うのですけれど、どんなことを考えながらやっていらっしゃいますか。 経済新聞だから、という意識はあんまりないんですよ。そもそも私自身、経済新聞らしいこと…