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明治大学大学院<総合芸術系> 管啓次郎研究室の書評ブログ

展覧会評

歪みと沈下【評=中野行準】

「六本木クロッシング2022往来オーライ!」展(森美術館) 「青木千絵個展 沈静なる身体」展(ギャラリーSOKYO ATSUMI) 青木千絵の彫刻は微動している。うなだれ、もつれ合い、倒れかかっている人型の彫刻は、重力に耐えきれず、平衡感覚を失いながら、少し…

共通語としての植物【評=中野行準】

『《清須市ゆかりの作家》阿野義久展 生命形態—日常・存在・記憶—』 最初の展示室に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは巨大な彫刻作品だ。壁に設えられたガラスケースに、標本さながらに展示されたそれは、〈作品A〉〈作品B〉とそっけなく名付け…

まなざすのは誰か【評=中野行準】

『東北へのまなざし1930-1945』展 1 2つの含意 『東北へのまなざし1930-1945』というタイトルには2つの含意がある。1つ目はまなざす主体が想定されているということで、これは本展覧会で提示される東北があくまでも、特定の主体によってまなざされた<東…