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明治大学大学院<総合芸術系> 管啓次郎研究室の書評ブログ

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

何もしないことを受け入れるために【評=大洞敦史】

石飛幸三『「平穏死」のすすめ──口から食べられなくなったらどうしますか』(講談社文庫、2013) 死は、生けとし生きるものに共通の終着点だ。しかしそこに至る道のりはさまざまである。突然死、長い苦痛の末の死、穏やかに迎える死……。なるべく苦しまずに逝…

ポケットに俳句を【評=管啓次郎】

Sam Hamill. The Pocket Haiku. Shambhala, 1995. 飛行機の中で読むのに文字がつまっていると目が疲れるので、俳句本を空港で買った。サム・ハミルによる『ザ・ポケット俳句』、コロラド州ボウルダーのシャンバラから出ている。そもそも俳句の知識がほとんど…

嗜好品としての詩? 【文=管啓次郎】

(たばこ総合研究センター「TASC」2023年6月号に寄稿した「詩をつかまえるために」と同時に書いた短文です。どちらにするか迷ってひっこめたほうの文章ですが、よかったら読んでみてください。) 自分は詩には無縁だと考えている人が多い。現代生活を見てい…