清岡さんといえばカリスマ・フランス語教師、わが同僚です。外国語の勉強って、どうするのがいいんでしょう。
すぐできるのは音読かな。毎日10分が理想だけど、10分はけっこう長いので5分でも。もちろんシャドーイングとかオーヴァーラッピングを入れてもいいけど、基本は音読。もうひとつは、これは時間かかるけど、自分用の単語集を作るっていうか。
えっ!
単語集というかフレーズ集、センテンス集。市販のものを使っている人は多いけれど、やっぱ自分用にカスタマイズした表現、自分がいいたいフレーズを100か200か揃えておくと相当いいんじゃないか。
なんか一気にハードルが高くなったような(笑)。
ぼくなんかでも映画を見て、あ、おもしろいなあ、気が利いてるなあと思う言い回しを書き留めたりするわけ。それがね、大学のときいわれたんですよ、忘れもしない細田直孝先生に。
あ、ミシェル・レリスの訳者の。
「きみら、そういうフレーズを書き留めておくと後ですごく役立つよ」といわれて「ふぁー」とか思ってたんだけど、いまになって「あれ、ほんとだったなあ」って。あとはRFI(エレフィ=ラディオ・フランス・アンテルナシオナル)のやさしいフランス語のニュース Le journal en français facile を車の中で聞く。
あれ、けっこうむずかしいじゃない。
単語がやさしいだけでスピードはほぼナチュラル。言い回しはちょっと噛み砕いているけれど、とてもじゃないけどやさしいって感じじゃない。で、聞き流すんじゃなくてシャドーイングする。車を運転しながらテキストなしでシャドーイングするわけ。それがアフリカのニュースなんかで固有名詞が挟まるとぜんぜんわからない。またONU(国連)とかのイニシャルでできた文字だと、知らないといえないし。まあ、あのニュースはスクリプトがあるから、気になるところはあとで「あー、そういってたのか」と確認すればいい。
勉強法、すごく参考になりますけれど、そもそもなんでフランス語はじめたんですか。
いやー、それがね。すごく誤解してたんですけど、受験英語が得意だったの。するとそのころは受験英語が英語だと思ってたから、あ、英語できるからもういいや、他の言語やろう、と。それで、まあ家にボードレール全集とかあったから(笑)、身近なのはフランス語かな、みたいな。でもあとですぐに気づいた。あ、受験英語というのは広大な英語の中のごく片隅だった(笑)。
それはそうだよね。フランスにはじめていらっしゃったのは?
けっこうおそかったですね。院生のころ。
どうでしたか、行ってみて。
最初のころは文学的というか神話的なパリをなぞるような生き方をしてたので、そういう神話性を強化する体験になったけど、新しいリアルなパリを発見するようなことには、最初のころはならなかったかな。
その新しいパリの発見はいつはじまったんですか。教えるようになってから?
そうですね。フランスの実態にだんだん近づくようになった。本当におもしろくなったのはそれからかな。学びたいこと、知りたいことが、どんどん出てくる感じです。