きょうは撮影をありがとうございました。はぎさん、写真の修行みたいなことは、どういうふうにされたんですか。
師匠【舞山秀一さん】に3年ついて、独立して今年9年目です。
撮るのはもっぱら人物ですか。
そうですね。人物がほぼほぼメインです。
ずいぶんいろいろな人を撮影されたと思いますが、みんなそれぞれ反応がちがうというか、撮られる側にも個性ありというか…
ありますね。
どういう人がやりやすくて、どういう人はやりにくい、といったことは?
すごくあります。自分の感覚なのですが、話しやすいな、と思う方は撮りやすいです。でも、撮りにくい方でも撮ってておもしろいです。きっと被写体の方が人見知りかどうかくらいの違いかな、と。
自分からもしゃべりかけるわけでしょうから、やはりその場で関係が成り立つことが大切なのかな。
うん、うん。写真を撮られるのがきらいな人を撮るのも好きです(笑)。いやだろうなって思いながら、あーもう早くやめて、って思ってる顔を撮ったり。まだですよー、笑うまで終わりませんよー、なんていったりするのがすごく好きです(笑)。
動物を撮ることはありますか。
動物は苦手です。うち、猫が2匹いるんですけれど、ぜんぜん撮れないです。
植物は?
切花を今年の前半くらいにけっこう撮ってたんですけど、花と風景と動物は、私が見ている以上に素敵には撮れないなと思って。
ということは、人間はやはり関係の中で撮るから何か新しいものが生まれてくると考えればいいんでしょうか。
ですね。それとその人を、その人が見えている1.85割増しくらいに撮ろうとは思ってます(笑)。
写真を職業にするって、どういうことなんでしょう。昔は写真を撮ると魂を吸いとられると信じた人もいたわけで、何か目に見えない世界につながっている感覚もありそうですけれど。
私はめちゃくちゃ写真が好きなんですけれど、職業にすることになったのは消去法で、写真しかできることがなかったっていう感じです。食べていくためにできるのが。なので、始めたのがすごく遅いんですよ。29とかくらいに師匠につきはじめて。
それはちょっと珍しいんじゃないですか。
そうなんですよ。
写真の前は何に興味があったんですか。
あまり何にも(笑)。あまり好きなものもなく。あ、きらいなものはけっこう多いんですけど(笑)。そんなに人も好きじゃないです。師匠にいわせると「おまえの写真は人が好きじゃないのがわかる」って(笑)。
それもおもしろいけど。人が好きな人の写真って、どういうんだろう。
どうなんですかねえ。
いまこのお仕事をされてて、誰の写真が好きだということはありますか。たとえば誰かの写真集が好きでくりかえし見るみたいな。
最近何人か、日本のカメラマンさんでもそういう人はいます。でももともと写真をよく見て「写真好き」だったというのでもなくて。逆に、ぜんぜん写真家さんとかを知らないんですよ。
写真というおなじ分野でも、ジャーナリズム、出版、広告などとアート作品としての写真は別の世界なのかな。
かなり相容れないですね。「作家」と呼ばれる人たちが好きな写真を撮ってそれをお金にできるというのは写真を撮っているみんなの憧れだな、というところはあります。
でも一方にね、たとえば地方都市で3代、4代とつづく写真館なんかがあるでしょう。土地の顔というか、子供たちの成長をずっと記録してきた、みたいな。ああいうの楽しそうだなと思うんですけど、どうですか。
楽しいと思います。たまにやるんですよね、七五三の写真とか。ただ私ちょっと飽きっぽいので(笑)、ずっと写真館とかは無理なんだろうな… いろんなところに行っていろんな人に会えるのが楽しいです。
では一回限りのイベントなどがあって、そのとき写真をお願いしますといわれるのは?
あ、もうぜんぜん。よろこんで。ライブ写真とかはぜんぜん平気です。なので、ずっとおなじテーマで写真を撮れる写真家さんにあこがれるんですけど、無理なんですよ。
ライブ写真というのはコンサートとか? 音楽は何がお好きですか。
音楽はクラシックが好きです。
へー(笑)。なんかいちいち予想を裏切ってきますね(笑)。ではついでに聞きますけど、朝ごはんは何がお好きですか。
パンと目玉焼きです。
ああ、よかった。丸く収まりました(笑)。