新しいシリーズをはじめることにしました。いろいろな人へのごく短いインタビューです。5分間の立ち話のつもりで、さらりと。お楽しみいただければさいわいです。
(聞き手=管啓次郎)
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きょうお話をうかがうのは目黒区鷹番にあるSunny Boy Booksの高橋和也さんです。いまは沖縄に住んで、姉妹店となる新しい書店の開店準備中です。お店の名前と場所を教えてください。
沖縄県うるま市浜比嘉島という島です。名前は「本と商い ある日、」です。
「ある日」のあとに「、」がついているのがいいですね。どんな感じの島なんですか。
人口は300人ぐらい。住んでいる人はほぼオジイとオバアです。1997年に浜比嘉大橋ができて以来、本島と車で行き来できるようになっています。
どんな本を集めたお店になるんでしょうか。
サニーのほうは特にテーマを設けていなかったんですけれど、今回は「共にある」というテーマをもって本を選んでいきたいと思っています。沖縄の人、新しく来た人、旅行者、いろんな人が「共にある」場所を作れたら。沖縄の民俗学や歴史はもちろんですが、生き方を考える、現代の生きづらさをしずかに語り合うための本などを、共有できる場にしたいですね。
最初の段階で何冊くらい準備しようと考えていますか。
どれだけの大きさのハコがあって何冊、という計算になると思うんですけれど、今回は喫茶と小さなギャラリーを併設して、ゆったり本を選んでほしいと思っています。余裕をもたせて、出発点では1,500〜2,000冊のあいだ。サニーは5坪の店で4,000〜4,500冊ありますが、あそこより広くてそれだけの冊数ですから、かなりゆったりした雰囲気になるでしょうね。
喫茶部門ではどんなものを?
メインはコーヒーと焼菓子。妻がシロップを作るので梅ジュースとか、沖縄のものを使ってシークァーサー、ジンジャー・シロップなど。それから島バナナのシェイクかな。最近、お店の近くのオジイがいつも島バナナをくれるんですよ。それをちゃんと購入してお店のメニューに載せ、還元できるようにしたいとも思っています。
沖縄に移住してけっこう経ちましたね。
1年半ですね。この間はコロナもあってほんとうに家にいたので、公の場にぜんぜん行けてないんですよ。人と会って話をするのも、指で数えるほどしかしてなくて。個人の本屋さんというと沖縄の場合、古本が中心なので、その組合には顔を出させてもらっています。今週末も会合があります。
1年半すごせば、お天気や季節のサイクルはひととおり経験したわけですね。何か発見はありましたか。
そうですね。沖縄に来るならお勧めできるのは11月から12月でしょうか。雨が少なく、最高にすごしやすい。年が明けるとひたすら雨が多くて、特に今年は梅雨だけでも例年の3倍雨が降ったそうです。お勧めといえばこっちに来てから点在するグスク(城)をけっこう回っているのですが、どこもすごくいい風が吹いていて、気持ちいいし、いろいろなことを思います。ぜひ遊びに来てください。